J.N.チェイニー&ジョナサン・P・ブレイジー
金子 浩 訳
人類も宇宙に進出し、多くの植民星で構成された連邦国家になっている未来。 人類はケンタウルス星人と呼称される招待不明のケンタウルス座方面から来た異星人と長い闘いを続けていた。 ケンタウルス星人は技術文明が人類より進んでいて、搭乗した強力なメカとの闘いは熾烈で、常に不足する兵員を確保するために、 微罪でも刑罰として徴兵されるという時代。 主人公も微罪で徴兵され、長期間の労務の兵役か短期間の最前線勤務の選択肢しかない状況で、 もっとも過酷な海兵隊の偵察戦闘部隊に配属され、そこで人間的にも成長しながら戦い続けるというミリタリーSF
ミリタリーSFといえばハインラインの『宇宙の戦士』が元祖で、この物語も親がちゃんとしていて、それなりの将来もちゃんとあったのに、 いやいやながら過酷な訓練と兵役の中成長するというところが似ている。 また、生物工学的に改変され、脳内に AI を入れているというガジェットはスコルジーの『老人と星』、アラン『真紅の戦場』とも似ているし、 懲罰としての兵役というところは『真紅の戦場』のアイデアともいえる。 また、戦闘のための改造によって、持病みたいなものを抱え込むことになるところは『超戦士コブラ』にも通じるところがある。
今作は完全に目新しいトリックというところはなく、過去の名作のいいアイデアを上手く取り入れているところは、マイナスではなく好感が持てる。 主人公がご都合主義的に強すぎることなく、まだまだこれからといういいところで終わったのも、 まだ未翻訳だが原作では 15 巻まで出ているのもよくわかるといったところ。
翻訳もとても読みやすく、読みつかれることなく一気によめたのが一番評価できるところ。
