`remotediskd(8)` 関数仕様（案）

0. 全体方針

単一プロセス・単一スレッドのイベントループ型デーモン。
コマンドラインオプション → struct rdd_cliopt に詰める。
struct rdd_config は「現在有効な設定 + クライアント状態」をまとめて持つ。
シグナルハンドラは volatile sig_atomic_t フラグを立てるだけ。
- 実際の設定リロード、終了処理はイベントループ側で行う。
ネットワークブートは頻度が低い前提なので、効率よりも実装の素直さ・可読性優先。

1. データ構造定義

1.1 共通構造体 `extern.h`（公開インタフェース）

/* コマンドラインオプション */
struct rdd_cliopt {
	const char *conf_path;   /* -c path: 設定ファイル */
	const char *ifname;      /* -i interface: 受信/送信に使うインタフェース */
	const char *image_root;  /* -s dir: イメージファイルのルートディレクトリ */

	int         debug_mode;  /* -d: 1=フォアグラウンド (デーモン化しない) */
	int         debug_level; /* -d/-v の累積回数に応じたログ詳細レベル */
};

/* デーモン全体の設定＋状態 */
struct rdd_config {
	/* 設定パス関連 */
	char   *config_path;     /* 設定ファイルパス (デフォルト: /etc/remotediskd.conf) */
	char   *image_root;      /* イメージルート (デフォルト: /tftpboot) */
	char   *ifname;          /* 使用インタフェース名 (NULL なら自動選択) */

	/* デバッグ / ログ */
	int     debug;           /* デバッグモード (-d) なら 1: デーモン化しない */
	int     debug_level;     /* ログ詳細度 */

	/* インタフェース情報 */
	int     if_index;        /* if_nametoindex() 結果 */
	struct in_addr if_addr;  /* 応答に使う IPv4 アドレス  */
	int     if_mtu;          /* MTU (必要なら) */

	/* RPC / SRQ 用ソケット */
	int     srq_sock;        /* UDP 3073 */
	int     rpc_sock;        /* UDP 3072 */

	/* クライアント配列 */
	struct rdd_client *clients;
	int     nclients;

	/* イメージ idle タイムアウト（秒） */
	time_t  idle_timeout;    /* デフォルト 300 秒程度を想定 */

	/* 未知クライアントログ抑止用 (MAC 単位で簡易キャッシュ) */
	time_t  unknown_log_time[UNKNOWN_CACHE_SIZE];
	uint8_t unknown_log_mac[UNKNOWN_CACHE_SIZE][6];
};

/*
 * 設定ファイル中の 1 エントリに対応する単位。
 * - hostname
 * - image_list で指定された unit ごとのイメージパス
 * - ランタイム状態（各ユニットの open/mmap 情報・最終アクセス時刻など）
 */
struct rdd_client {
	char           *hostname;     /* remotediskd.conf の host 名 */

	struct rdd_image_unit *units; /* ユニット配列 */
	int             nunits;       /* ユニット数 */
};

※ /etc/ethers による MAC 解決は config 読み込み時には行わず、実際の RPC 受信時に client_lookup()（client.c）側から行う。

1.1.1 `struct rdd_cliopt`

コマンドラインオプションを一時的に保持する構造体。 getopt() の結果はすべてここに詰める。config には直接触らない。

struct rdd_cliopt {
	const char *conf_path;   /* -c path: 設定ファイル */
	const char *ifname;      /* -i interface: 受信/送信に使うインタフェース */
	const char *image_root;  /* -s dir: イメージファイルのルートディレクトリ */

	int         debug_mode;  /* -d: 1=フォアグラウンド (デーモン化しない) */
	int         debug_level; /* -d/-v の累積回数に応じたログ詳細レベル */
};

conf_path / ifname / image_root は config_init() 内で strdup() / estrdup() して rdd_config にコピーされる。
debug_mode は cfg->debug に反映（デーモン化を抑制）。
debug_level は cfg->debug_level にコピー。

1.1.2 `struct rdd_image_unit`

1 ユニット（1 つのイメージファイル）の状態。

struct rdd_image_unit {
	char   *path;         /* config_read() 時に image_root と結合して決まるフルパス */
	int     fd;           /* オープン済みならファイルディスクリプタ、未openなら -1 */
	void   *map;          /* mmap アドレス or NULL */
	size_t  map_len;      /* mmap 長さ (ファイルサイズ) */
	time_t  last_access;  /* 最後に READ された時刻 (idle cleanup 用) */
};

path は設定ファイル読み込み時に /tftpboot 等と結合して決まる。
fd, map, map_len, last_access は image.c が管理。
OPEN 時に fd / map / map_len / last_access を設定。
READ 時に last_access を更新。
CLOSE または idle cleanup で munmap() / close() / fd=-1 / map=NULL / map_len=0。

1.1.3 `struct rdd_client`

設定済みクライアント 1 台分の情報。

struct rdd_client {
	char           *hostname;     /* remotediskd.conf の host 名 */

	struct rdd_image_unit *units; /* ユニット配列 */
	int             nunits;       /* ユニット数 */
};

hostname は設定ファイルから。
/etc/ethers との対応づけは config 読み込み時には行わない。実際の要求受信時に、client_lookup() 内で「MAC → hostname 逆引き」し、その hostname とここで設定された hostname を比較してクライアントを特定する。
units は nunits 長の配列。各要素が image_unit。
- 設定ファイル：diskunit0.img,diskunit1.img → nunits=2, units[0].path=".../diskunit0.img", units[1].path=".../diskunit1.img" など（実際には image_root と結合したパスを保持）。

1.1.4 `struct rdd_config`

サーバ全体の設定とランタイム状態。

struct rdd_config {
	/* 設定パス関連 */
	char   *config_path;     /* 設定ファイルパス (デフォルト: /etc/remotediskd.conf) */
	char   *image_root;      /* イメージルート (デフォルト: /tftpboot) */
	char   *ifname;          /* 使用インタフェース名 (NULL なら自動選択) */

	/* デバッグ / ログ */
	int     debug;           /* デバッグモード (-d) なら 1: デーモン化しない */
	int     debug_level;     /* ログ詳細度 */

	/* インタフェース情報 */
	int     if_index;        /* if_nametoindex() 結果 */
	struct in_addr if_addr;  /* 応答に使う IPv4 アドレス  */
	int     if_mtu;          /* MTU (必要なら) */

	/* RPC / SRQ 用ソケット */
	int     srq_sock;        /* UDP 3073 */
	int     rpc_sock;        /* UDP 3072 */

	/* クライアント配列 */
	struct rdd_client *clients;
	int     nclients;

	/* イメージ idle タイムアウト（秒） */
	time_t  idle_timeout;    /* デフォルト 300 秒程度を想定 */

	/* 未知クライアントログ抑止用 (MAC 単位で簡易キャッシュ) */
	time_t  unknown_log_time[UNKNOWN_CACHE_SIZE];
	uint8_t unknown_log_mac[UNKNOWN_CACHE_SIZE][6];
};

config_init() が:
- デフォルト値設定
- rdd_cliopt を反映
- idle_timeout にデフォルト値を設定 (例: 300)。
config_read() / config_reload() が:
- clients[] を構築 /再構築。
- image_root を基準に units[i].path を絶対パス化して保存。

2. モジュール別関数仕様

以降はファイルごとの関数と、その入出力・責務を定義します。

2.1 `main.c`

2.1.1 役割

エントリポイント。
コマンドラインオプション解析。
rdd_cliopt → rdd_config 初期化。
ログ／シグナル／インタフェース／ソケット／設定ファイルの初期化。
デーモン化。
イベントループ。
終了時 cleanup。

2.1.2 関数

`static void usage(const char *progname)`

入力：
- progname：表示用プログラム名 (通常 argv[0])。
処理：
- fprintf(stderr, ...) でオプション一覧と簡潔な説明を出す。
出力：
- 返り値なし。呼び出し側が exit(EXIT_FAILURE) 等を行う。

オプション仕様：

-i interface : 使用インタフェース名（省略時は自動選択）
-c config : 設定ファイルパス（省略時 /etc/remotediskd.conf）
-s dir : イメージファイルのルートディレクトリ（省略時 /tftpboot）
-d : デバッグモード（フォアグラウンド / ログ詳細度も 1 増加）
-v : ログ詳細度を 1 段階上げる
-h / ? : usage 表示

`int main(int argc, char *argv[])`

処理フロー（確定版）：

log_init(argv[0]);
struct rdd_cliopt opt; memset(&opt, 0, sizeof(opt));
getopt() でオプションを解析し、すべて opt に格納。
- -i → opt.ifname
- -c → opt.conf_path
- -s → opt.image_root
- -d → opt.debug_mode = 1; opt.debug_level++;
- -v → opt.debug_level++;
- -h / ? or unknown → usage() を呼んで終了。
struct rdd_config cfg;
config_init(&cfg, &opt) を呼ぶ。
signal_init() を呼ぶ。
- 失敗したらエラーで終了。
config_read(&cfg) を呼ぶ。
- /etc/remotediskd.conf 読み込み。
- エラーならログを出して終了。
setup_interface(&cfg)。
- cfg.ifname が NULL なら自動選択ルールに従う。
- IPv4 アドレスを cfg.if_addr に格納。
rpc_setup_sockets(&cfg)。
- cfg.srq_sock / cfg.rpc_sock を作成しバインド。
if (!cfg.debug) daemonize();
- デバッグモードでなければバックグラウンド化。
- デーモン化に失敗したらエラーログ出して終了。
event_loop(&cfg) を呼ぶ。
戻り値に応じて exit code を決定（正常終了かエラー終了）。
cleanup(&cfg);
log_close();
return。

`static int event_loop(struct rdd_config *cfg)`

入力：
- cfg: サーバ状態。
処理：
- for (;;) ループ。
- fd_set に cfg->srq_sock, cfg->rpc_sock を登録し select() または pselect() で待機。
- タイムアウトを 1 秒程度に設定し、周期的に idle cleanup や SIGHUP 処理も行う。
- reload_pending() が真なら:
  - clear_reload();
  - config_reload(cfg);（失敗したらログを出す。 → 失敗時の挙動は：**旧設定のまま継続でもよいが、ここでは「旧設定を保持して継続」**とする）
- terminate_pending() が真なら:
  - clear_terminate();
  - ループを抜けて終了。
- select() 戻り値 > 0 の場合：
  - FD_ISSET(cfg->srq_sock) → rpc_srq_recv(cfg);
  - FD_ISSET(cfg->rpc_sock) → rpc_recv(cfg);
- 毎ループまたは 1 秒おきに:
  - now = time(NULL);
  - image_idle_cleanup(cfg, now); を呼ぶ。
出力：
- 0 : 正常終了（SIGTERM など）。
- 非0 : 致命的エラーで終了（主要なエラーはログ出力済み）。

`static void cleanup(struct rdd_config *cfg)`

ソケットを閉じる：rpc_close_sockets(cfg);
全イメージをクローズ：image_close_all(cfg);
クライアント配列解放：client_free_all(cfg);
コンフィグ周りのメモリ開放：config_free(cfg);

2.2 `log.c`

公開関数

void log_init(const char *progname);
void log_close(void);
void log_msg(int prio, const char *fmt, ...) __printflike(2, 3);
void log_debug(int level, const char *fmt, ...) __printflike(2, 3);

仕様

log_init():
- openlog(progname, LOG_PID | LOG_NDELAY, LOG_DAEMON);
- デバッグモード（cfg.debug や opt.debug_mode）に応じて、stderr にも出すかどうかは実装側で決める。
log_close():
- syslog 使用時は closelog()。
log_msg():
- syslog or stderr に共通メッセージ出力。
log_debug(level, ...):
- level <= cfg->debug_level のときのみメッセージ出力。
- cfg->debug_level は struct rdd_config 内の値を参照する（log.c 内で extern struct rdd_config * もしくは setter 関数などで接続する想定）。

2.3 `signal.c`

公開関数

int  signal_init(void);
int  reload_pending(void);
int  terminate_pending(void);
void clear_reload(void);
void clear_terminate(void);

仕様

内部に static volatile sig_atomic_t reload_flag, terminate_flag; を持つ。
signal_init():
- SIGHUP → reload_flag = 1
- SIGTERM / SIGINT → terminate_flag = 1
reload_pending() / terminate_pending():
- それぞれのフラグを読み出して返す（クリアはしない）。
clear_reload() / clear_terminate():
- フラグを 0 にする。
いずれの関数もシグナルマスクを変更しない。
SIGHUP が連続して来た場合、reload_pending() / clear_reload() の組み合わせで、最低でも 1 回は確実にリロードされる動きとする。

2.4 `config.c`

公開関数

void config_init(struct rdd_config *cfg, const struct rdd_cliopt *co);
int  config_read(struct rdd_config *cfg);
int  config_reload(struct rdd_config *cfg);
void config_free(struct rdd_config *cfg);

2.4.1 `config_init()`

cfg 全体をゼロクリア。
config_path / ifname / image_root / debug_level を：
- co->conf_path / co->ifname / co->image_root / co->debug_level が非 NULL / 非 0 ならそちらを採用。
- そうでない場合はビルドインのデフォルトを設定：
  - config_path : /etc/remotediskd.conf
  - image_root : /tftpboot
  - ifname : NULL（後で setup_interface() が決定）
  - debug_level : 0
debug は co->debug_mode が真なら 1、それ以外は 0。
idle_timeout は定数デフォルト（例: 300 秒）。
unknown_log_time[] / unknown_log_mac[][] をゼロ初期化。

2.4.2 `config_read()`

処理：
1. fopen(cfg->config_path, "r")。失敗時はエラーをログして -1。
2. 行バッファ char line[1024]; を用いて fgets() で 1 行ずつ読む。
3. 行ごとに parse_config_line(cfg, line, lineno) を呼ぶ。
4. 最後に fclose() して 0 を返す（致命的エラーがあれば途中で -1）。
行が長すぎる（末尾に改行無し）の場合：
- 残りを読み捨てた上で、その行は警告して無視。

2.4.3 `parse_config_line()` の詳細

（static 関数として config.c 内部に定義）

行末の \n / \r を削る。
行頭の空白（space / tab）を飛ばす。
空行 or 行頭 # はコメントとして無視。
hostname トークン抽出：
- 空白・タブ・# までを hostname とする。
- hostname が空なら警告して無視。
hostname の後の空白を飛ばす。
2 列目（image_list）の生文字列を取り出す：
- # をコメントの開始とするが、\# でエスケープされた # は有効文字とする。
- img_start 〜末尾までの文字列から、末尾空白をトリム。
- 空なら「empty image list」として警告し、その行を無視。
parse_image_list(img_start, &paths, &nunits, cfg->config_path, lineno) を呼び、カンマ区切り＋\ エスケープ付き文字列を unit ごとのパス配列に変換。
- 成功時: paths は char **（estrdup() 済み）、nunits > 0。
- 失敗時: その行を無視。
新しい struct rdd_client を確保し、以下を設定：
- client->hostname = estrdup(hostname);
- client->nunits = nunits;
- client->units を calloc(nunits, sizeof(struct rdd_image_unit)) で確保し、 parse_image_list() で得た paths[i] について、
  - 先頭が / ならそのまま絶対パスとみなして units[i].path に estrdup()
  - そうでなければ cfg->image_root + "/" + paths[i] を連結して絶対パス文字列を作り、units[i].path に estrdup()
- ランタイム状態フィールド（fd/map/last_access 等）は「未オープン」状態で初期化。

※ ここでは /etc/ethers の ether_hostton() / ether_ntohost() による MAC 解決は行わない。 MAC → hostname の解決は client_lookup() 側で実施する。

2.4.4 `parse_image_list()` の仕様

static int
parse_image_list(const char *img_list,
    char ***out_paths, int *out_nunits,
    const char *conf_path, int lineno);

文字単位のステートマシンでパース：
- 状態:
  - OUTSIDE_TOKEN（トークン外、区切りを飛ばしている）
  - INSIDE_TOKEN（トークン構築中）
- 区切り:
  - , / space / tab
- エスケープ:
  - \X → X をそのままトークンに追加
    - 行末の単独 \ はエラー。
トークンが完成するたびに estrdup(token) して paths[] に追加。
トークン長上限は PATH_MAX 相当のバッファ長で管理し、超えたら行ごと無視して警告。
有効なトークンが 1 つもなければエラー（行無視）。

2.4.5 `config_reload()`

実装方針：
- 新しい struct rdd_config を別途作ってリロードが成功したら差し替える。失敗した場合は元の設定を維持。
具体的には：

int
config_reload(struct rdd_config *cfg)
{
    struct rdd_config newcfg;

    /* cfg から path / image_root / ifname / debug_level などだけコピーして
       newcfg を config_init 相当で初期化（clients は空） */

    config_init_for_reload(&newcfg, cfg); /* 仮のヘルパ */

    if (config_read(&newcfg) != 0) {
        /* パース失敗: newcfg を捨てて旧 cfg で継続 */
        config_free(&newcfg);
        return -1;
    }

    /* ここで初めて旧 clients/images を閉じる */
    image_close_all(cfg);
    client_free_all(cfg);

    /* newcfg.clients などを cfg に移す（ポインタを丸ごとムーブ） */
    move_clients(&newcfg, cfg);

    config_free(&newcfg); /* cfg に移さなかった部分だけ片付け */

    return 0;
}

シグナルとの整合性:
- 再読み込み中もシグナルハンドラはフラグを立てるだけなので、再入の心配はない。
- event_loop() の次の周回で再度 reload_pending() が真なら、さらに config_reload() が呼ばれるだけ。

2.4.6 `config_free()`

（クライアントやイメージの解放は cleanup() 側で済ませている前提）
free(cfg->config_path), free(cfg->image_root), free(cfg->ifname) など、 config_init() で strdup() した文字列を解放。
cfg のポインタフィールドを NULL に戻す（安全のため）。

2.5 `client.c`

公開関数

struct rdd_client *
client_lookup(struct rdd_config *,
    const uint8_t mac[6], const struct sockaddr_in *src);

void client_free_all(struct rdd_config *);

仕様

client_lookup():
1. mac から /etc/ethers を使ってホスト名に逆引き：
  - ether_ntohost() などを使用し、hostname_from_ethers を得る。
2. 逆引きに失敗した場合：
  - cfg->unknown_log_mac[] / cfg->unknown_log_time[] を参照。
  - 一定時間（例: 10 秒）以内に同じ MAC からの要求が続く場合はログを抑制。
  - 「unknown client (MAC=xx:xx:xx:xx:xx:xx) from src」が一定間隔でだけログに出る想定。
  - NULL を返す。
3. 成功した場合：
  - 得られた hostname_from_ethers と cfg->clients[i].hostname を比較。
  - 一致するクライアント構造体を返す。
  - 見つからなければ unknown と同様にログを出す（ただしメッセージを変える）。
client_free_all():
- cfg->clients 配列をなめて、
  - client->hostname の free()、
  - 各ユニット units[i].path の free()、
  - units 配列本体の free()。
- 最後に free(cfg->clients); cfg->clients = NULL; cfg->nclients = 0;。

2.6 `image.c`

公開関数

int     image_open_unit(struct rdd_config *, struct rdd_client *, int unit);
ssize_t image_read(struct rdd_config *, struct rdd_client *, int unit,
            off_t off, void *buf, size_t len);
void    image_close_unit(struct rdd_config *, struct rdd_client *, int unit);
void    image_close_all(struct rdd_config *);      /* 全クライアント */
void    image_idle_cleanup(struct rdd_config *, time_t now);

仕様

image_open_unit():
- unit 範囲チェック (0 <= unit < client->nunits)。
- u = &client->units[unit] を取得。
- u->path は config_read() 時に image_root と結合済みのフルパス として保持されている前提。
- u->fd >= 0 かつ u->map != NULL なら既にオープン済み。last_access を更新して成功。
- そうでなければ open(2) → fstat(2) → 必要なら mmap(2) を行う。
- 既に open 済みなら何もしない（ただし、RDOPEN のたびに再オープンする仕様を採るなら、その時点でいったん close → open する）。
image_read():
- まだ open されていなければ image_open_unit() を呼ぶ。
- off / len 分を mmapped 区間から memcpy() でコピー。
- 実際のファイルサイズより先を読もうとした場合は短い read として扱う。
- 読み出し成功時には、そのユニットの last_access を time(NULL) などの現在時刻で更新。
image_close_unit():
- 対応 fd / mmap を閉じ、ユニット状態を「未オープン」に戻す。
image_close_all():
- cfg->clients の全クライアント・全ユニットに対して image_close_unit() を呼ぶ。
- 終了時や config_reload() 前に使用。
image_idle_cleanup():
- 全クライアント・全ユニットを走査し、
- now - last_access > cfg->idle_timeout のユニットを image_close_unit() で閉じる。
- event_loop() から 1 秒〜数秒ごとに呼ばれる。
RDOPEN / RDCLOSE との関係:
RDOPEN が来たら、そのクライアントに対して全ユニットについて image_close_unit(cfg, client, unit) を呼び、「新しいブート」の開始とみなす。
RDCLOSE が来たら、そのクライアントに対して同様に全ユニットの image_close_unit() を呼び、明示的にリソース解放。
すべてのクライアントのイメージを一括で閉じたい場合（終了時や設定再読込時）は、 image_close_all(cfg) を使う。
- PROM が RDCLOSE を送らないケースに備えて、idle timeout でもクリーンアップされる。

2.7 `interface.c`

公開関数

int setup_interface(struct rdd_config *cfg);

仕様

cfg->ifname が NULL の場合：
- システムのインターフェース一覧から、
  - ループバック以外で
  - UP かつ AF_INET アドレスを持つ
  - 最も番号の小さいインターフェースを選択（rbootd(8) と同様のポリシー）。
- 見つからなければエラー。
cfg->ifname が指定されている場合：
- そのインターフェースが存在し、UP で IPv4 アドレスを持つことを確認。
- 失敗したらエラー。
将来的に、ここでインターフェースの IPv4 アドレスや MAC アドレスも cfg にキャッシュしておくと、ログや SRQ 応答で使いやすい。

2.8 `rpc.c`

公開関数

int  rpc_setup_sockets(struct rdd_config *cfg);
void rpc_close_sockets(struct rdd_config *cfg);
int  rpc_srq_recv(struct rdd_config *cfg);
int  rpc_recv(struct rdd_config *cfg);

2.8.1 `rpc_setup_sockets()`

SRQ ソケット（UDP, port 3073）と RPC ソケット（UDP, port 3072）を作成。
- bind() には cfg->ifname に対応するアドレスを用いる。
生成した FD を cfg->srq_sock / cfg->rpc_sock に格納。
失敗時は 0 未満を返し、main() 側でエラーとして扱う。

2.8.2 `rpc_close_sockets()`

cfg->srq_sock / cfg->rpc_sock が有効なら close() する。

2.8.3 `rpc_srq_recv()`

SRQ パケットを受信し、NWS 側に対して SRQ リプライ（ポート通知）を返す。
実装の詳細は既存プロトタイプ newsrd_bootd.c と同じ動きとし、この仕様書ではプロトコル詳細には踏み込まない。
エラー時も出来る限り継続し、致命的なエラーのみ -1 を返す。

2.8.4 `rpc_recv()`

RD RPC パケットを受信し、RPC ヘッダをパースして、prog=0x20000000, vers=1 のみ処理対象とする。
proc フィールドに応じて:
- RPCRDOPEN → rd_handle_open()
- RPCRDREAD → rd_handle_read()
- RPCRDCLOSE→ rd_handle_close()
client_lookup(cfg, src_mac, &src_addr) を行い、対応クライアントを取得：
- 見つからなければ、適切なエラーコードの RPC REPLY を返すか、仕様に従って黙殺。
ハンドラの戻り値に応じて、RPC REPLY を組み立てて送信。

2.9 `rpc_rdops.c`

公開関数

int rd_handle_open(struct rdd_config *, struct rdd_client *,
    const struct rd_request_open *, struct rd_reply_open *);

int rd_handle_read(struct rdd_config *, struct rdd_client *,
    const struct rd_request_read *, struct rd_reply_read *);

int rd_handle_close(struct rdd_config *, struct rdd_client *,
    const struct rd_request_close *, struct rd_reply_close *);

※ struct rd_request_* / struct rd_reply_* は RD プロトコル構造体。newsrd_bootd.c で使っていた定義をそのまま流用。

仕様

rd_handle_open():
- PROM の RDOPEN 要求に応答。
- クライアントに対して、全ユニットについて image_close_unit(cfg, client, unit) を呼び、「新しいセッション」の開始とみなす。
- 必要なら unit=0 のイメージ存在チェックだけ先に行うが、実際の open/mmap は image_read() まで遅延してもよい。
- 正常なら reply->status = RDSTAT_OK 的な値を設定し 0 を返す。
rd_handle_read():
- unit / offset / size をチェック（範囲外など）。
- image_read(cfg, client, unit, off, buf, len) を呼び、結果を reply に詰める。
- 読み出しサイズ 0（EOF）も許容。
rd_handle_close():
- 全ユニットに対して image_close_unit() を呼んでそのクライアントのイメージをすべて閉じる。
- reply に OK をセットして返す。
いずれも、プロトコルとしての「status コード」がどう扱われるかは、既存の stub 実装と NEWS PROM の観測結果を元にすり合わせて実装する。

3. コールツリー（主なパス）

3.1 起動〜メインループ

main
 ├─ log_init
 ├─ getopt → rdd_cliopt 設定
 ├─ config_init
 ├─ config_read
 ├─ signal_init
 ├─ setup_interface
 ├─ rpc_setup_sockets
 ├─ [if !cfg.debug] daemonize
 ├─ event_loop
 │   ├─ [毎ループ] reload_pending / terminate_pending
 │   ├─ [毎ループ] image_idle_cleanup
 │   └─ [I/O 有り]
 │       ├─ rpc_srq_recv (SRQソケット ready)
 │       └─ rpc_recv    (RPCソケット ready)
 │           └─ rpc_handle_{open,read,close}
 │               ├─ client_lookup
 │               ├─ image_open_unit
 │               ├─ image_read
 │               └─ image_close_unit / image_close_all
 ├─ cleanup
 │   ├─ rpc_close_sockets
 │   ├─ image_close_all
 │   ├─ client_free_all
 │   └─ config_free
 └─ log_close

3.2 SIGHUP (設定再読込)

[SIGHUP受信]
 sigaction handler → reload_flag = 1

[event_loop 内]
 reload_pending() → true
  ├─ clear_reload()
  └─ config_reload(cfg)
      ├─ (新しい clients 配列を構築)
      ├─ パース成功 → 旧 clients + images を破棄し、新しい構造に差し替え
      └─ パース失敗 → ログだけ出して旧設定を保持

3.3 idle タイムアウトによるイメージクローズ

[event_loop]
 └─ image_idle_cleanup(cfg, now)
      └─ for all clients & units
          └─ if fd>=0 && last_access>0 && now - last_access > idle_timeout
                └─ image_close_unit(cfg, cl, unit)

4. エラー処理とログポリシ

起動時の致命的エラー（設定ファイルが読めない、ソケットが開けない等）:
- log_msg(LOG_ERR, ...) を出して非 0 で終了。
設定ファイルの個々の行の問題:
- 行の形式が不正、hostname が空、image_list が空など:
  - LOG_WARNING を出し、その行は無視して次の行へ進む。
unknown client:
- client_lookup() で MAC → hostname 逆引きに失敗した場合、あるいは hostname は得られたものの cfg->clients[] に該当がない場合:
  - 直近一定時間（例:60 秒）ログを出していなければ LOG_NOTICE を出す。
  - unknown_log_mac[] / unknown_log_time[] のキャッシュに記録して同一 MAC からのスパムログを防止。
RPC 処理中のエラー:
- できる限り「RPC のエラーコード」でクライアントに返す。
- どうにもならない場合のみ致命的ログを出してサーバ自体を終了させる。

tsutsui/remotediskd-function-specification.md

remotediskd(8) 関数仕様（案）

0. 全体方針

1. データ構造定義

1.1 共通構造体 extern.h（公開インタフェース）

1.1.1 struct rdd_cliopt

1.1.2 struct rdd_image_unit

1.1.3 struct rdd_client

1.1.4 struct rdd_config

2. モジュール別関数仕様

2.1 main.c

2.1.1 役割

2.1.2 関数

static void usage(const char *progname)

int main(int argc, char *argv[])

static int event_loop(struct rdd_config *cfg)

static void cleanup(struct rdd_config *cfg)

2.2 log.c

公開関数

仕様

2.3 signal.c

公開関数

仕様

2.4 config.c

公開関数

2.4.1 config_init()

2.4.2 config_read()

2.4.3 parse_config_line() の詳細

2.4.4 parse_image_list() の仕様

2.4.5 config_reload()

2.4.6 config_free()

2.5 client.c

公開関数

仕様

2.6 image.c

公開関数

仕様

2.7 interface.c

公開関数

仕様

2.8 rpc.c

公開関数

2.8.1 rpc_setup_sockets()

2.8.2 rpc_close_sockets()

2.8.3 rpc_srq_recv()

2.8.4 rpc_recv()

2.9 rpc_rdops.c

公開関数

仕様

3. コールツリー（主なパス）

3.1 起動〜メインループ

3.2 SIGHUP (設定再読込)

3.3 idle タイムアウトによるイメージクローズ

4. エラー処理とログポリシ

`remotediskd(8)` 関数仕様（案）

1.1 共通構造体 `extern.h`（公開インタフェース）

1.1.1 `struct rdd_cliopt`

1.1.2 `struct rdd_image_unit`

1.1.3 `struct rdd_client`

1.1.4 `struct rdd_config`

2.1 `main.c`

`static void usage(const char *progname)`

`int main(int argc, char *argv[])`

`static int event_loop(struct rdd_config *cfg)`

`static void cleanup(struct rdd_config *cfg)`

2.2 `log.c`

2.3 `signal.c`

2.4 `config.c`

2.4.1 `config_init()`

2.4.2 `config_read()`

2.4.3 `parse_config_line()` の詳細

2.4.4 `parse_image_list()` の仕様

2.4.5 `config_reload()`

2.4.6 `config_free()`

2.5 `client.c`

2.6 `image.c`

2.7 `interface.c`

2.8 `rpc.c`

2.8.1 `rpc_setup_sockets()`

2.8.2 `rpc_close_sockets()`

2.8.3 `rpc_srq_recv()`

2.8.4 `rpc_recv()`

2.9 `rpc_rdops.c`